何を食べるか、ではなくて何を食べないか

NYに住んでいて嬉しいのは、ファーマーズ・マーケットで、季節の新鮮な野菜や果物を買えるること。マーケットには、手作りのジャムやピクルス、チーズ、そして漁師さんが持ってくるお魚や、できたてのパンまである。

私はものすごい食いしん坊で、NYでおいしいレストランがあると聞けば、いつも真っ先に飛んで行ったし、料理が好きなので、よく人を呼んでディナー・パーティをした。朝起きて、「今日は何食べようかなー」と考えるのが至福のひとときだった。

でも、この5年くらいかな、食べることに前ほどの情熱を感じなくなってしまった。こった料理ではなくて、新鮮な食材に、さっと手を加えて食べるのが、一番おいしいと思うようになった。それは年のせい、と言うのもあるけれど、アメリカに長年住んでいると、食は「栄養」ではなくて「毒」になることが多くて、自然と「何を食べようか」じゃなくて「何を食べないか」を考えるクセがついてしまったからかも知れない。

今年の初め、医者のアドバイスの元で、28日間、究極のデトックスダイエットにトライした。この間、禁止されてた食材は、赤身の肉(鶏肉やターキーはOK), 乳製品、グルテンが入ったもの(小麦粉でできたもの、パン、麺類、は全てNG)、大豆、砂糖、アルコール、カフェイン(紅茶も緑茶もNG)。食べられるのは、野菜と果物、魚、お米だけ。

いや、実につらかったです。何よりもキツいのは、大豆製品が食べられなかったこと。豆腐、ミソ、醤油もダメ、というのは日本人には厳しい。この間、人と食事に行っても、何も食べられなかった。サラダを注文しても、ドレッシングに砂糖や乳製品が入ってるとNG。 イースト・ビレッジにある人気のレストラン、Dirt Candy (http://www.dirtcandynyc.com/)の食事は、完璧なベジタリアンなので、大丈夫かと思ったら、結局ここでも私が食べられるものは何一つなくて、シェフが特別な料理を作ってくれた。

でも、1週間を過ぎたころからか、ぐっすり眠れるようになり、身体がすごく軽くなって、スタッフからも「メグミさん、お肌が‘つやつや!」とか言われて励まされ、28日間の苦行を終えた。最後の方は、このまま行けば200歳まで生きられるんじゃないか、という位体調が良くなった。普段、よっぽど悪いものを口に入れてるんだな、とわかって驚いた。

このデトックスの目的は、自分に合わない食材を探すことでもある。28日のデトックス期間終了後、一品目ずつ食事に加えて行き、食べた後に脈を計ったり、お腹の調子や、気分をモニータする。それでわかったのが、私には「グルテン」が身体に合わない、ということ。

普段食べて何ともなかったので気がつかなかったのだけれど、デトックス後に、パスタを食べたら、お腹が膨張して転げ回るほどの激痛が走った。アレルギーではないけれど、実はグルテンは私の身体に合わないらしい。それ以来、なるべくパンや麺類は避けるようにしている。日本ではあまり聞かないけれど、アメリカには、「グルテン・アレルギー」の人がものすごく多くて、最近はスーパーで「グルテン・フリー」のパンやパスタが売っているほど。 小麦粉、乳製品、砂糖を使わないデザートの専門店Baby Cakesなんてのもある。 デトックス中は、ここのスイーツに随分救われた。

食という生きるために一番ベーシックな行為をコントロールできた時、身体だけでなく心も変わって行った。一番の大きな発見は、好きな物を好きなだけ食べたり飲んだりするのは、自由な行為に見えて、実は食欲の奴隷になってる、ということ。自分は甘い物や、麺類、お酒、コーヒー等の大好物が、なくては生きられないと信じている。その縛りから解放されて、何だって、なくてもやって行けるものだ、とわかった時、自分はすごく自由になれたと思った 。それは、美味しいものを食べた後の刹那的な幸福感より、ずっと満たされたものだった。

と、えらそうに言ってますけど、勿論今でも美味しいものは食べたいと思う。 最後、ハーブが亡くなる前、1ヶ月以上、食欲が全くなくなって何も食べられないのを見て、好きなものを食べられるうちは、本当に幸せだなあと思った。まあ、身体の声を聞いて、ほどほどの量を、バランス良く食べているのが一番ですね。

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