甘い復讐

今朝、ドロシーからこんなメールが転送されてきた。
「SWEET REVENGE FOR A BROKEN GUITAR—壊れたギターへの甘い復讐 」。
これを読んで、1ヶ月前に、続編の撮影でラスベガスとモンタナへ
行った際に、移動途中で起きたトラブルを思いだした。

土曜日、終日ラスベガスでロケして夕方の飛行機でモンタナへ移動す
る予定が、飛行機に乗り遅れてしまったのだ。
預ける荷物もなく、手荷物だけで、出発の40分前に空港カウンター
に到着したのに、アラスカ航空の従業員は、頑として飛行機に乗せて
くれない。規則では、出発の45分前にチェックインしなければなら
ないという。担当者は「次の飛行機に乗せてあげるわよ。到着は明日
の夜11時だけど、どうする?」と、しゃあしゃあと言うではないか。

モンタナでは、イエローストーン美術館の館長と、翌日の朝11時にア
ポが入っている。日曜の朝にわざわざ時間を作ってくれたのだ。
現地のカメラクルーも、ブッキングしてあるので簡単には予定を変え
られない。チケットを買った旅行会社やアラスカ航空の親会社、ユナ
イテッド航空にも掛け合ったけれど、全くダメ。予定通りロケをする
には、ラスべガス〜モンタナのチケットを新しく買うしかなかった。

土曜夜にフェニックスとデンバーで2度乗り換え、寝る暇もほとんど
なく、何とか朝9時過ぎにモンタナ州のビリングスに到着。撮影も無
事終了した。しかし、このためにかかった余分な飛行機代、宿泊費な
ど、被害総額はおよそ1000ドル。

NYに戻ってからも怒りは収まらず、 Facebookにこの事を書いたら、
沢山のコメントが寄せられた。同じような経験をしている人が大勢い
る。そして、高校の後輩が送ってくれたガイドラインを読むと、アメ
リカの空港チェックイン 時間は、手荷物だけの場合、30分前とある
ではないか。しかし、その下に小さな字で 「ラスベガス、アトランタ、
デンバー空港は、例外で要45分前到着」とあった。とほほ。
それにしてもねえ。たった5分の遅刻ですよ。

アメリカでは、航空会社とのもめ事は日常茶飯事で、誰にでもホラー
話の一つや二つは必ずある。何より頭にくるのが、従業員の失礼極ま
りなく、誠意のない態度。空港で、お客さんが、カウンター越しに航
空会社の社員に襲いかかり、ガードマンに連行される場面を目撃した
こともある。

で、ドロシーのメールに書かれた「甘い復讐」の話だけれど、これが
実に痛快であの時の怒りもふっとんでしまった。3年前に話題になっ
たらしいが、私は全然知らなかった。

デイブ•キャロルというミュージシャンが、ユナイテッドの飛行機で
移動する際にテイラーというメーカーのカスタムメイドのギター
($3500相当の価値)を預けたところ、明らかにユナイテッドの取り
扱いミスでギターを壊されてしまった。8ヶ月にわたって、弁償の交
渉をしたけれど、全く埒があかない。

「こうなったら、今回のことをビデオにしてYouTubeにあげるぞ」
と脅してもダメ。そこでデイブは「ユナイテッドにギターを壊された」
というタイトルで曲をつくり、ミュージック•ビデオにしてYouTube
にあげたところ、数日で100万以上のヒット数に!

ユナイテッドが、後で慌てて彼に連絡してきて、交渉に乗るからビデ
オをYouTube からはずしてくれ、と頼んだけれど、もちろん彼は応
じなかった。そして、彼のおかげでブランドの認知度が上がったテイ
ラーは、お礼として彼にギターを2台プレゼントしたという。
デイブは、一躍有名人になり、彼はパート3までビデオを作って、視
聴者は合計1億5千万人!

あるイギリスのジャーナリストが試算したところ、このビデオがユナ
イテッドにもたらした被害総額は180万ドル、株価10%下落に相当するとか。
その真偽はわからないけれど、アメリカの企業の顧客対応方法に、
大きな変革をもたらしたのは確かなようだ。
デイブは、今や音楽活動だけでなく、そうした企業に呼ばれて、
講演でも大忙しらしい。このミュージックビデオ、最高に笑える。
航空会社とのトラブルで嫌な思いをした経験がある人が見れば、
誰もが胸のすく思いをするだろう。
こういうクリエイティブな復讐の発想ができるのは、さすがアメリカ人・・・
と思ったら、彼はカナダ人でした。ビデオは、こちらから。