アーティストMarty Johnsonー多作の秘訣は?

「ハーブ&ドロシー」では、多くの著名なアーティストを紹介しましたが、二人がコレクションしたのは、必ずしも成功したアーティストの作品ばかりではありません。続編「50X50」では、無名アーティストを何人か紹介します。その一人、マーティ・ジョンソンを、2月末に取材&撮影しました。

1970年代の終わり、Found Objects(身の周りにあるモノ&使い捨てられたモノ)を使ったサイケデリックな色使いのポートレイトや彫刻で、マーティは一時脚光を浴びます。ハーブ&ドロシーと出会ったのは、その頃です。しかし、移り変わりの激しいNYのアート界は、あっという間にマーティにそっぽを向けます。

80年代終わり、アートでは生活費を稼げなくなったマーティは、NYの小さなワンルームのアパートを引き上げ、父親の事業をつぐために、実家のあるバージニア州リッチモンドに拠点を移します。以来、配管工事の部品販売のビジネスを継いで大成功させ、事業の合間に創作活動を続けました。

25年以上、展覧会も開かず、一点の作品を売ることもなく、ただひたすら、自分の楽しみだけのために作品を創り続けたのです。今、マーティの、スタジオ兼ギャラリ―になっている小さな4階建てのビルは、おびただしい数の作品で溢れ返っています。彼自身も数えたことはないけれど、推定1万点はあるとのこと。これは、日曜画家の域を越えた多作ぶりです。こんなに旺盛な創作意欲を持ち続けるのは、プロのアーティストでもめずらしいのではないでしょうか。多作の秘訣は?と聞いたところ、「アートが僕にとって生きがいであり、唯一の人生の目的。創作をやめる事は、イコール死を意味する。黙っていても自分の内側からどんどんアイディアが湧いてくるんだ。」

作品を「売る」ことを潔く放棄して、自分の好きな時に、作品を好きなだけ創るという選択をしたマーティ。こういうアーティストとしての生き方もあるのか、と考えさせられました。それは、アート・コレクションと仕事を区別し、購入した作品を決して売らなかったハーブ&ドロシーの精神にも通じるところがありますね。

マーティの作品は、ハーブ&ドロシーの「50X50寄贈プロジェクト」を通じて全米35の美術館に所蔵されることになり、少しずつ注目を集めはじめています。地元バージニア州では、去年、27年ぶりに個展も開かれました。アーティストとして、再び多くの人に作品を見てもらえることを、彼は素直に喜んでいるようです。