日本でのクラウドファンディングを終えて

日本でのクラウドファンディングを終えて

最初、『ハーブ&ドロシー』続編のクラウドファンディングで、
1,000万円というとてつもない目標金額を掲げた時、
随分無茶な試みだと思われた(らしい。後で聞いた話)。
自分でも、最初は達成できるかどうか、半信半疑だった。

「日本には寄付文化はない」と何度も言われ、
ファンディグが伸びない時は、やっぱりなあ、とも思った。
日本では、ネットを使った資金募集や、クレジットカードを使うことさえ
まだまだ抵抗があると。

途中で、1,000万円到達は無理かも…との考えがよぎり、
さてどうしたものかと考えた。

お金を貸してくれるという友人のオファーもあった。
企業協賛の一部を入れていただこうか、という意見もあった。
でも、そこまでして1,000万円の数字をクリアすることに意義があるのか?と
疑問に思った。
達成できなければできないなりに、何か大切な教訓があるのではないか、と
(でも、この気持ちは周囲の人には言えなかった)。

結果として、アメリカを含めて1,000人を越える皆さんのパッションと愛に
支えられて、目標額を大きく越えて、1,400万円という
日本でのクラウドファンディング最高額を達成。
なんだか、夢のようで今でも信じられない。

誤解を恐れないで言うと、今回のクラウドファンディングは
私にとって、とてもスピリチュアルな体験だった。
1人ではできないことを、大勢 に支えられて初めて達成できた。

札幌南高校の同窓生が中心になって組織された「ハーブ&ドロシー応援基金」を
通じて、合わせて200人余りの方々から、200万円以上が集まった。
全くお会いしたこともない方から、50万円のご支援を頂いた。
一昨日、そのご夫妻がカウントダウンパーティにお見えになり、
初めてご挨拶させて頂いた。

「こちらこそ、ありがとうございます。すばらしい経験をさせて頂きました」と
奥様に言われたときは、ありがたすぎて、涙が溢れた。

私は25年間NYに住んでいるので、何でも自分1人で行動することに慣れている。
人にお願いしたり、頼ったりするのが大の苦手。
特に資金援助を頼むなんてもってのほか。

でも、支援して頂く立場になって初めてわかった。
人を支援するとはどういうことなのか。
自分も誰かの、世の中の役にたてる人間に是非なりたいと。

小さなことでいいから、と思ってNYでホームレスや
ストリート・ミュージシャンを見るたびに、1ドル札を渡した。
そんな小さなことから始められればいいと思った。

「日本には寄付文化はない」って本当だろうか?
困っている人に手を差し伸べ、共感する作家やプロジェクトに
お金を出して支援したいという心を持つ人が、日本には大勢いるのではないか?
今回のクラウドファンディングの成功は、その表れなのではないか?

私たちの挑戦は、まだ始まったばかり。
クラウドファンディングが大変なのは、お金を集めることよりその後のフォロー。
支援して下さった皆さんにどれだけ満足して頂けるかが、
今回のファンディングが本当の意味で成功したかどうかを決めると思っている。

『ハーブ&ドロシー』号は、1,000人を越える乗客をのせて港を出たけれど、
この先、どんな大波や悪天候が待っていることやら。転覆しないで、今年の春、
無事目的地に到着できるよう、しっかり舵取りしなくては。
どうか皆さん、しっかり欄干に捕まっていてください。

改めて、今回のファンディングにご協力、ご支援頂いた皆様に
心からの御礼を申上げます。ありがとうございました。

大統領選でも使われているクラウド・ファンディング

今日は、3度目の大統領討論会。ロムニーが外交問題に疎いせいもあって、お互いの突っ込みが弱くて面白くなかった。討論会後に出た世論調査では、浮動票のオバマ支持が53%・・・微妙なところですね。

何としても、オバマに再選して欲しい! 私はアメリカの市民権がないので、投票できないのだけれど、去年、クラウド・ファンディングを始めてから、みなさんに支援をお願いするだけではダメで、自分も支援する気持ちをちゃんと伝えなくては、と思い立って、以来毎月10ドルづつオバマの選挙キャンペーンに寄付をしている。

アメリカに住んで25年にもなるけれど、選挙活動に寄付したのは、今回が初めて。その後メーリングリストに載ったので、毎日キャンペーン・オフィスからメッセージが届くようになった。そして、このメールが、実によく出来ているので、いつも感心して見ている。送るタイミング、送信者の名前、体裁、内容、全てシンプルながら、相当考えられたものであることがわかる。

例えば、さっきTVで討論会を見終わり、オバマが舞台裏に退場した、と思った瞬間に、メールが届いた。

しかも、題目が “Hey”ですよ。日本語に訳すと、こんな感じ。

「メグミ、(必ずファースト・ネームで、Dear とか、敬称もなし)、
あとは、君次第。4ドル出してよ(Please もなしの命令形)。それで勝とうぜ!」

その下に、$4~250までのレベルで、QUICK DONATEのリンク、最後に 「ありがとう、バラクより」

日本語にするとものすごく図々しくてイヤな感じに聞こえるかも知れないけど、英語の表現だと実に親しみやすく、友だちからメールをもらったような感覚。

うだうだと説明もせず、人々の心を一言でキャッチできるように、とても念入りに練っているはずなのに、そういう意図も全く見えない。(でもクラウド・ファンディングの経験者には、わかる!)送り主も、オバマ本人からで(最初このメールが届いた時は、本当に驚いた!)、大統領とか、選挙事務所とか、そんな言葉は一切なし。だから、普通のメールと思って開いてしまう。

送り主は、副大統領のジョー・バイデンのこともあるし、奥さんのミシェル、ビル・クリントン、時には、サラ・ジェシカ・パーカーのように、セレブから届くこともある。でも、いずれのメッセージも、同じようにシンプルで、軽くて、でもちょっとだけ心にひっかかる事をさらっと言っている。

さすがだなあ、と思う。誰が、どのように戦略を立てているのかわからないが、オバマの選挙運動スタッフは、まさにクラウド・ファンディングの極意をつかんでいるなあ、と感心する。

で、やっぱりこの軽い誘いに乗って私もするっと$4のボタンを押して寄付をした。今日の討論、オバマが頑張ってくれたから$4くらい寄付しなくては、ですよね。QUICK DONATEのボタンをワンクリックして、パスワードを入れて、それでおしまい。このネットのインフラの整い方もすばらしい。

ということで、アメリカのクラウド・ファンディングは、大統領選にまで使われている、というご報告でした。

日本でのクラウドファンディングがスタート

今日は、みなさんにご報告とお願いがあります。

映画の製作は、いよいよ大詰めを迎えました。
来週月曜日は、サンダンス映画祭応募の締切で、それまでにできるだけ
完成に近いかたちで編集を仕上げ、DVDを送る準備を進めています。

今日と明日は、ウッドストックにある編集のバーナディンの家で
泊まり込みで徹夜の編集作業です。音楽もいい感じで出来上がってきました。
グラフィック・デザイナーは、映画の中で使われるアメリカの地図や
オープニングタイトルの制作を急ピッチで進めています。

そして昨日から、日本でクラウドファンディングをスタートしました。
完成のためにまだ足りない製作資金、そして日本で来年春の劇場公開を
実現するためにかかる、配給&宣伝費の調達のためです。
今年の夏、ハーブの急逝でスケジュールも映画の内容も大きく変わり、
オーバーした製作予算、そして、来年春の日本公開の際にドロシーに来日して
いただくための渡航費用、他宣伝にかかる経費をまかなうためです。

クラウドファンディングとは、インターネットを使って
大勢の支援者から小額を募り、アート、音楽、映画などのクリエイティブな
プロジェクトを実現するという、新しい資金調達とサポーター集めの方法です。

一般の人々が気軽に参加できるという点で、文化支援における民主的な
プロセスでもあり、欧米では、ここ2年ほどでかなり普及してきました。
中には1億円を越えるファンディング(資金調達)に成功する
プロジェクトも出てきています。

私も去年の秋、『ハーブ&ドロシー 50X50』の製作資金として
キックスターターというサイトを通じてファンディングをしました。
その結果、世界中の730人ものサポーターの皆さんから、
8万7千ドルを越える資金援助を頂きました。

英語のサイトで、手続きがわかりずらいにも関わらず、日本からも大勢ご参加
いただきました。そのおかげで、製作がストップしていた映画は撮影を終え、
編集をスタートすることができたのです。もしこのファンディングがなければ、
『50X50』の製作は、中断したままでした。

クラウドファンディングは、まさに「ハーブ&ドロシー」の精神を踏襲した、
新しい形のアート支援です。二人はわずかな公務員の収入から、
自分達が払える範囲で作品を買い集め、アーティストの成長をささえてきました。

その結果は新作『ハーブ&ドロシー50×50』で見ていただく通りです。小さな
1LDKのアパートから始まった二人のささやかな情熱の果実は、最後は全米50州の
美術館に届けられ、次世代に引き継がれる歴史的なコレクションに発展しました。

景気低迷が続く中、日本も欧米も、公共、民間を問わず、
真っ先に予算カットされるのが文化プログラムです。

特にアーティスト支援の環境がまだまだ整備されていない日本では、
アーティストが活動を続けていくことがとても困難になっています。

私は『ハ―ブドロシー 50X50』でのクラウドファンディングを何とか成功させ、
一つのモデルケースとなることを願っています。
そのために、目標値を1千万円という高い位置に設定しました。
もし実現すれば日本で最高値です。

そしてこの方法が、日本の アーティスト、音楽家、映画監督、ダンサーなど、
あらゆる種類の表現者に、アイディアを実現し、発表するための手だてとして
広まって行けば、どんなに素晴らしいだろうと思います。

主旨をご理解いただき、今回のキャンペーンに是非ご参加、ご協力いただければ
幸いです。ご支援頂いた金額に応じて、映画の前売り券、DVD、オリジナルの
Tシャツや、アーティストがデザインした限定スケッチブック、などステキな
プレゼントを沢山用意しました。そして3万円以上のご支援を頂いた方のお名前は、
全て日本語版の映画のエンドロールにお名前を掲載します。

さらに、ドロシーが出席する、日本プレミアの上映会&レセプションご招待の
チケットもあります。資金的な支援は無理、という方も大歓迎!
ツイッター、フェイスブック、ブログなどで広めていただければ大変嬉しいです。

詳しくは、こちらのモーション・ギャラリーのサイトをご覧下さい。
http://motion-gallery.net/projects/herbanddorothy5050

『ハーブ&ドロシー50X50』の完成、そして日本公開までの道のりに、
是非ご参加いただけないでしょうか。皆さんと共に、来年祝杯を上げられるのを
楽しみにしております。

どうぞよろしくお願い致します。

サンタだらけのNYクリスマス・・・☆ ハーブ&ドロシーもプレゼント準備で大忙し!?

NYに帰った翌々日、町中にサンタが溢れているのにびっくりしました。何でもサンタコンというイベントで、世界中で開かれているそうです。目的は単純明快「サンタの格好をして街に繰り出し、楽しむこと」。シンプルなアイディアですけど、何千人もタイムズスクエアに集まると、圧巻ですね。
http://photo.news.livedoor.com/detail/32486

今NYは、「ホリデー・シーズン」のまっただ中です。NYには、様々な宗教の人がいるので、クリスマスだけではなく、ユダヤ教の 「ハヌカ」やアフリカの「クワンザ」など、他の宗教や民族の祭日も含めて12月を「ホリデー・シーズン」と呼んでいます。

普段は殺風景な通りにもイルミネーションがともされ、お店や家の外も飾りつけされてNYが一番きれいに輝く時です。そして今は、アメリカ人の財布の紐が思い切り緩む時でもあります。家族、友達、同僚、クライアントに、と皆プレゼントを買いまくるのです。アメリカの小売り業界の年間売り上げの半分〜3分の2が 、この1ヶ月のホリデーシーズンに集中してると言えば、その凄まじさは、ご想像いただけるかと思います。

私も、アメリカ人の友人宅に招かれて何度かクリスマスを過ごしたことがあるのですが、とにかく家族間の大量のプレゼント交換にはいつも圧倒されます。小さなキャンドルやキーホルダーといった小物から、ダイヤのネックレス、皮のコートなどの大きなギフト、そしてその中間のどうでもいいような「ペディキュアセット」とか「スウェットの上下」といった品々を合わせると、一人2〜3ダースは、プレゼントをもらいます。

結局プレゼントの多くは後日返品したり、クローゼットの奥にしまい込まれたまま。だったら、価値あるものだけを1つか2つだけプレゼントすればいいのに、と思うのですが、そうするとアメリカの経済が停滞してしまうんでしょうね。

ちなみに、ハーブ&ドロシーは、私がいつもお金に困っているのを知っていて、$50の小切手を切ってくれます(トホホ)。
ありがた過ぎて使えないので、全部とってあります。いつか、額に入れて飾りたいくらいです。

プレゼントと言えば、日本からNYに帰って私を待ち受けていたのは、大きな段ボール箱4つに詰まったTシャツ、そして日本から届いた大量のスケッチブック、チャーリー・クロフのプリント作品などなど。キックスターターを通じて続編を資金援助して下さったサポーターの皆さんへのプレゼントです。

帰国翌日から、スタッフ、インターン、多い時で7人が総出で、 袋詰め、ラベル貼り、郵送に明け暮れる毎日。ドロシーとハーブ も、$500レベルの特典として、50X50のカタログに、一人一人の名前を書いて、サインしてくれました。Tシャツやスケッチブックを袋に詰めながら、そして世界中から支援して下さったサポーターの皆さんの名前や住所を確認しながら、「愛だね〜」と、スタッフと一同しんみりした気分になりました。

最後に。皆さんは、子供に「サンタクロースはいるの?」と聞かれたら何と答えますか?1897年、NYに住む8歳の女の子、バージニア・オハンロンが地元紙NYサン宛に、手紙を書いて聞きました。「私の友達は、みんなサンタなんていないって言うんだけど、本当はどうなんですか」と。同紙が社説として掲載した答えは、100年以上経った今でも、世界中で読み継がれ、アメリカの新聞紙上最も有名な社説となりました。毎年この時期になると、多くのメディアで紹介されるのですが、何度読んでもすばらしい答えで「サンタって本当にいるよね〜」としてしまいます。

今日は、このヴァージニア宛に書かれた答えの一部をご紹介して終わります。皆さん、どうぞステキなクリスマスを!
サンタが沢山のステキなプレゼントを届けてくれますように!

「ヴァージニア、それは友だちの方がまちがっているよ・・・この広い宇宙では、人間って小さな小さなものなんだ。ぼくたちには、この世界のほんの少しのことしかわからないし、本当のことをぜんぶわかろうとするには、まだまだなんだ。実はね、ヴァージニア、サンタクロースはいるんだ。愛とか思いやりとかいたわりとかがちゃんとあるように、サンタクロースもちゃんといる。もしサンタクロースがいなかったら、ものすごくさみしい世の中になってしまう。そもそもサンタクロースはひとの目に見えないものだし、それでサンタクロースがいないってことにもならない。ほんとのほんとうっていうのは、子どもにも大人にも、れの目にも見えないものなんだよ。・・・サンタクロースはいない?いいや、今このときも、これからもずっといる。ヴァージニア、何千年、いやあと十万年たっても、サンタクロースはいつまでも、子どもたちの心をわくわくさせてくれると思うよ。」

全文の訳はこちらに:
http://www.alz.jp/221b/aozora/there_is_a_santa_claus.html

パーティでのHerb & Dorothy夫妻・・・キックスターターを終えて

先週の土曜日は、イーストビレッジで開いた、
キックスターター・キャンペーンの
カウントダウンを見届け、達成を祝うパーティに
ハーブ&ドロシーも参加してくれた。ドロシーは、
パーティ直前に食べたシェパードパイにあたって
お腹をこわし、到着直後にトイレへ駆け込むという
ハプニングがあったものの、結局最後の
カウントダウンまで付き合ってくれた。
ハーブの妹さんのポーラやアーティスト、
友達も大勢駆けつけてくれた。ハーブは、口数も少なく、
ドロシーの横で静かに座っていた。最近の二人は、
ごくごく静かな毎日なので、久しぶりに
大勢が集まる場に連れてくるのが心配だったが、
二人とも楽しんでくれたようだ。

しかし、この2ヶ月は、
精神的にも身体的にも実にしんどい毎日だった。
おかげさまで、9月初めにスタートした60日間の
キックスターター・キャンペーンは、世界各国から
集まった730人のサポーターに支えられて、
目標額の$55,000をクリアし、
最終的にはその158%、 $87,331の資金が集まった。

週に一度ニュースレターを送り(最後の週は、3回発送)、
4つのフェイスブックアカウント、ツイッター、
タンブラーで常にメッセージを発信、ほぼ毎日
キャンペーンブログを更新、アート関係のブロガーに
呼びかけ、マスコミにプレスリリースを送り、
ハガキやフライヤーをギャラリーや映画館に置いてもらい、
50X50の美術館全てに協力要請のメールを何度も送る。
そして電話やメールでの連日のフォロー、
ミーティング・・・まるで選挙運動のようだ。
資金集めは、筋トレと同じで、最初はつらかったけれど、
そのうち資金援助をためらわずに口に出せる「筋肉」がついた。

この間、他の事はほとんど手がつかなかった。
ひたすら頭を下げて「サポートして下さい」と嘆願する日々。
新しくサポーターが増えるとキックスターターから
メールが入るので、どこにいて何をしていても、
メールが気になって仕方がない。ある日はサポーターが
沢山増えたと言ってはよろこび、翌日は全然ダメだ、
と言っては落ち込む。

一番つらかったのは、数字がほとんど動かない中盤戦。
横ばい状態が続き、1ヶ月経過した中間地点でやっと40%、
残り3週間地点で、50%。スタッフの士気もだんだん下がり、
イライラと緊張感が頂点に達して、チームワークがぐらつき始める。
「メグミさん、一体どうするんですか?!何か戦略は?」
と詰め寄られる日々。

そう、たかがファンドレイジングなのだ。
でも、このキックスターターの面白いところは、こうやって、
周囲の人全てをハラハラどきどきさせて、巻き込んでしまうところだ。
目標額をたて、期日を決める。それまでにお金が集まらないと
すべてを失う。このシンプルで明快なルールがあるからこそ、
資金集めという苦痛極まりない作業が、ある種のゲーム感覚で
楽しめてしまう。それが、キックスターターがここまで
広まった理由でもあると思う。

気の毒なことに、ドロシーもこのゲームに
巻き込まれてしまった一人だ。最後の1ヶ月は、
朝起きてすぐにマックブックに直行し、キックスターターの
サイトをチェックする。気になって、1日に最低5回は
サイトを見ていたらしい。絶望的な声で
「目標額に達成するのはムリじゃない?」という電話が
何度かかかってきた。一斉メールを何度も送って、
サポートをよびかけてくれたり、ハガキをいつもバッグに
入れて持ち歩き、 アパートの廊下で、スーパーのレジの列で、
病院の待合い室で、会う人、会う人に、
ハガキを渡して宣伝してくれた。

そして、キックスターター・サイトのサポーターリストを見て、
あの人が寄附してくれた、この人はまだだわ、と私たち以上に
一喜一憂していた。ありがたいとともに、情けない。
こんなことに巻き込んでしまって申し訳ない気持ちで一杯だった。

終了15日前、シアトルに住むサポーターの呼びかけが、
思わぬはずみをつけた。
「サポーターのみなさん、さあ,支援額を2倍に増やして、
この映画が完成できるよう応援しましょう!」と。
そして、多くの人がつぎつぎと支援額を2倍、3倍に
増やしてくれた。中には、$500を$1,000に増やしてくれる人もいた。

しかし、その効果はそんなに長くは続かなかった。
残り8日、目標額まで、まだ2万ドルも足りない。
私にとっての最後の頼みの綱は、日本の知り合いだった。
このキャンペーンは、まずアメリカで成功させなくては、
と最後の最後まで残しておいた切り札。それは、この1年間で
『ハーブ&ドロシー』日本公開にあたって
お世話になった500人の方々への呼びかけ。
もうダメだ、と断念して一斉メールを送ったのが最終日の8日前だった。

翌日、メールボックスを空けると、日本からの
多くのご支援とともに、去年『ハーブ&ドロシー』の企業スポンサーに
なって下さったハイパーギア社の本田社長から、
スゴいメッセージが届いていた。
「ぜひ、会社でご支援したく思います。2万ドルサポートすれば、
目標達成できますよね・・・・99.9%は佐々木監督をはじめとする、
スタッフとサポーターの方々の努力と熱意と多分、汗と涙でしょう。
でもそこまでして物をつくる、世の中に出していくという喜びに、
あと、0.1%お手伝いできるだけで、実現を一緒に喜べるというのは、
これくらい嬉しいことはありません。」

本田さんからの高額のご支援は、言葉に言い尽くせないほど
ありがたいものだ。しかし、本田さんから頂いたこのメッセージは、
プライスレスだ。深い感動とともに、脱帽させられた。
本田さんの言葉には、
21世紀の新しいアート支援—クラウドファンディングの真髄がある
と思った。こういう気持ちで皆がそれぞれ可能な範囲で
アーティスト支援に参加すれば、世界はアートと愛と感謝で
一杯になるだろう。今回サポートしてくれた730人の方々も、
こういう気持ちで参加して下さったのかと思うと、とても謙虚な
気持ちになった。そして、私自身もキックスターターで、
いくつかのプロジェクトのサポーターになった。

翌日から続々と届いた日本からの寄付のおかげで、
目標額はあっという間にクリアし、その後も支援は続いた。
そして『ハーブ&ドロシー50X50』は、
キックスターターで成功した1万以上あるプロジェクトの中の
上位1%、また映画部門では、上位17位にランクされた。

大変だったけれど、とても貴重な経験をさせていただいた。
製作資金の調達だけではなく、支援とは何か、
支援されるには何が必要で、どのような責任を伴うのかを教えられた。

みなさんの大切な1ドル1ドル、そして夢と期待に紡がれて、
この続編は一体どんな映画になるのだろう。楽しみであると同時に、
大きなプレッシャーを感じる。とにかく、がんばらなくては、です。
これからギアチェンジをして、再び製作現場に戻ります。

海を越えてアート&映画支援をしてみませんか

日本からご支援頂くには、支払いのプロセスが少々ややこしいので、広く告知していなかったのですが、それでもフェイスブックなどを通じて、沢山のご支援をいただきました。ありがとうございました。

キャンペーンの締め切りまで3週間となり、目標金額にまだまだ遠い状況です。『ハーブ&ドロシー50X50』続編のファンディングにご協力いただければ幸いです。前回のメルマガで、キックスターターのしくみなどを詳しくご説明したので、ここでは省略しますが、以下のキックスターター・サイトにて、映画の内容、トレーラー、金額に応じた特典の内容など、詳細が説明されています。

『ハーブ&ドロシー50X50』キックスターター・サイト(英語のサイトです)

キックスターターを通じてファンディングに参加頂いた方には、金額に応じて素敵な特典をお送りします。

オリジナルT-シャツや映画のDVDの他、リンダ・ベングリスやローレンス・ウイナーなど、ボーゲルコレクションの有名アーティストから提供して頂いたオリジナル作品を用意しました。特に、コンセプチュアル・アートの巨匠、ウイナーが新作映画のためにデザインしたスケッチブックが人気です。また$300以上のサポーターの方は、映画のエンドロールに名前が入ります。以下に特典の一部をご紹介します。
※尚このキャンペーンでお送りするDVDは、英語版で字幕は入っていませんので、ご了承下さい。

・$10〜: 『ハーブ&ドロシー50X50』の無料ダウンロード
・$20〜: ドロシーから、メールで初心者向けの
        アートコレクションの秘訣5点のアドバイス(英語)+続編映画ダウンロード
・$25〜: 『ハーブ&ドロシー』サウンドトラックと映画のダウンロード
・$35〜: 続編映画のDVD
・$50〜: 50X50キャペーン特製Tシャツ&映画ダウンロード
・$200〜: ローレンス・ウイナーが続編50x50のためにカバーデザインを
        した特製スケッチブック+Tシャツ+DVD
・$400〜: チャーリー・クロフ作品の限定プリント、他
・$500〜: ハーブ&ドロシーのサイン入り50X50カタログ
         +スケッチブック+DVD+Tシャツ
・$750〜: ローレンス・ウイナーの直筆サイン入りスケッチ・ブック
         (アート界が注目!)、他
・$1000〜:続編の世界プレミア&パーティへ2名様ご招待
       (NYでの予定・旅費別)
        +Tシャツ+DVD+サイン入りスケッチブック
・$5000〜:監督参加によるプライベート・スクリーニング、他
・$7500〜:リンダ・ベングリス ワックス・ペインティング、他

(このキャンペーンは2011年11月5日に終了致しました。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました!)

アメリカに見るアート支援システム“キックスターター”

映画製作のプロセスの中でも、資金集めは一番苦労する部分です。
アメリカの大学には、ファンドレイジングを教える学部もあるくらいで、
特殊な技術と才能を必要とする専門分野として確立しています。
お願いする時には、プッシュしすぎてもいけないし、
控えめすぎてもダメ。このさじ加減が実に難しい。
ファンド・レイジングは、まさにアートだなあといつも思います。

アートなファンド・レイジングと言えば、
ウエブを使った資金集めのサイト「キックスターター」が、
最近アメリカで大きく注目されています。
実は私たちも今、このサイトを使って続編の資金集めの
キャペーンをしています。アート、音楽、映画、ダンスなど、
クリエイティブなプロジェクトは、今まで、財団や企業、
一部の裕福な個人による高額の資金援助で実現してきました。
それが、キックスターターのようなサイトを通じて、一般の人が
小額の資金援助($1から可能)をできるようになりました。
「クラウド・ファンディング」と言って、こうしたウエブを通じた
資金集めのやり方が、ここ2年ほどで急速に広まっています。
少数のパトロンに頼るのではなく、大勢の一般サポーター
による「民主的なアート支援」が実現しているわけです。

キックスターターがユニークなのは、クリエイティブな
プロジェクトに限っていること、寄付のお返しとして、
サポーターへのプレゼントを用意しなくてはならないこと。
そして、目標金額と締切り日を定めて、期日内に目標に
達しない場合は、集まったお金が全てサポーターに戻される
という、ALL OR NOTHINGのルール。
例えば、私たちの目標金額は5万5千ドルなんですが、
締切りの11月5日深夜になって、1ドルでも足りないと、
お金は全てサポーターに戻されてしまいます。

最初は「そんなバカな」と思ったのですが、キックスターターが
成功したのも、実はこのゲーム性があるからだと思います。
人間は、明確なゴールと締め切りがあると、俄然頑張るんですね。
成功するプロジェクトは、大抵締め切り前の1週間に、
どっと最後の寄付が集まって,目標に到達するそうです。

キックスターターは、会社が設立されてまだわずか2年半ですが、
1万件以上のプロジェクトをサポートし、合計7500万ドル(約58億円)
相当の資金集めに成功しています。

私たちは、今年の夏一杯かけて、このキャンペーンの準備をしました。
他の成功した映画のプロジェクトを調べて、キックスターターのしくみを研究し、
アーティストにお願いしたり、Tシャツのデザインなどの特典を用意するのに
随分手間取りました。準備万端整えて、9月6日に60日の期日でスタート。
ほぼ半分の1ヶ月がすぎた今、目標金額の47%、2万6千ドル到達。
まだ半分に達していないので、少々焦りがでてきてます。

スタッフ3人で、毎週一度一斉メールを送り、フェイスブック、ツイッターなど
ソシアル・メディアでのよびかけ、ブログ更新、サポーターへのメッセージ、
各方面に電話やメールでのフォロー、マスコミ対応、ミーティングなどを
ほぼフルタイムで進めているのですが、それでも追い付きません。

フェイスブックにも書きましたが、10日ほど前の深夜、知らない人から
突然1万ドルの寄付が舞い込みました。さすがアメリカは懐が深い!と
感動したのもつかの間、結局その寄付は「ひやかし」だったことがわかり、
次の日あっけなくキャンセル。

他にも「サポートではなくて、この映画に投資したい」
「私は、賞をほとんど総なめにした経験ある映画プロデユーサー。
編集のアドバイスはいかが?」などのオファーがあったり(大体はあやしい)
「トレーラーに出ている赤いネクタイの男性がとてもステキ。連絡先教えて!」
なんていうメッセージもきます。

ある日は、どどーっとサポーターが増えたかと思うと、次の日はゼロ。
またある時は、見知らぬ人から$1000ドルの寄付を頂いたり(こちらは本物)、
何かある度に一喜一憂。心身ともに疲れます。

残りあと23日。11月5日までに3万ドル近い金額を集めなくてはなりません。
ローラーコースターに乗ってるような毎日が、あと3週間近くも続くと思うと、
とほほ、です。

明日は、イタリアのナポリで開かれるアート関係の映画祭、
ARTECINEMAに向けて出発。
しばらくは、キックスターターの事を忘れて骨休めしてきます。